いよいよ、ちーちゃんを火葬する時が来ました。
私はこの時まで、ペットの火葬について詳しいことをほとんど知りませんでした。
私がお願いした業者さんでは、ちーちゃんの遺骨をなるべくきれいな状態で残すために、火力を調整しながら、時間をかけて火葬してくれるとのことでした。
調べてみると、ペットの火葬はその子の大きさや体格、火葬炉の種類、業者さんの方針などによって、温度や時間が変わるそうです。
「ワンちゃんだから必ず人間より低い温度で、長い時間をかけて焼く」というわけではないようですが、強い火力で急激に火葬すると、小さな骨がもろくなったり、細かな部分が残りにくくなったりするため、遺骨をきれいに残すことを大切にして、火力を細かく調整しながら火葬する業者さんもあるようです。
そして、私がもうひとつ知らなかったのが、骨壺のお話です。
人間の場合、「火葬した遺骨をすべて骨壺へ入れる」とは限りません。
日本でも地域によって違いがあり、東日本では遺骨をすべて収める「全収骨」、西日本では一部を収める「部分収骨」が一般的とされています。
一方、ワンちゃんの場合は業者さんによると思いますが、できるだけすべての遺骨を骨壺へ収めてくれるところも多いようです。
私がお願いした業者さんも、本当に丁寧でした。
ちーちゃんの骨を無理に折って骨壺へ押し込むようなことはせず、遺骨の量に合わせて骨壺の大きさを選び、最後に残った細かな骨まで、きちんと箒で集めて骨壺へ入れてくれました。
このあたりは火葬業者さんによって方法が違うと思うので、
「遺骨は全部返してもらえるのか」
「骨を砕いたり折ったりすることはあるのか」
「骨壺の大きさはどのように決めるのか」
など、気になる方は予約の電話をする時点で聞いてみるといいと思います。
私自身も、実際に経験するまで知らないことばかりでした。
【ちーちゃんの骨にあった「幸せ色」】
そして、お骨上げの時、ちーちゃんの骨の一部に緑色に見えるところがありました。
業者さんからは「幸せ色」と呼ばれることがあるというお話を聞きました。
長生きしたワンちゃんやシニア犬に見られることがある、という話もペット葬儀の世界では耳にするようです。
「ちーちゃんは17歳半まで生きたから、幸せ色が出たんだよ」
そう言ってもらえると、飼い主としてはとても嬉しい言葉でした。
ただ、後から私自身でも調べてみたところ、
「高齢の犬は骨にリンが多くなるため、火葬すると緑色になる」
「緑色の骨は長生きした犬の証拠」
ということを証明した、信頼できる科学的な研究は、少なくとも私が調べた範囲では確認できませんでした。
骨は主にリン酸カルシウムを含むハイドロキシアパタイトという成分でできていますが、火葬された骨の色は、温度、加熱時間、酸素の状態、骨に含まれる成分、周囲の金属など、いろいろな条件によって変化することが知られています。
実際、人の火葬骨を調べた研究でも、緑色などの変色と金属成分との関係が報告されています。また、骨は加熱される温度によって茶色、黒色、灰色、青灰色、白色などへ変化していくことも研究されています。
そのため、「緑色=シニア犬だから」「リンが多い=長生きした証拠」と科学的に断定することは難しいようです。
だから私は、この「幸せ色」という言葉を、医学的・科学的な証明というより、
「長い間一緒に生きてきた子を送り出す時に、飼い主さんの心に寄り添ってくれる言葉」
として受け取っています。
科学的な理由がどうであったとしても、17歳半まで一緒に生きてくれたちーちゃんのお骨の中に見つけた緑色を、私は今でも「ちーちゃんの幸せ色」だと思っています。
【みんなでお骨を拾うということ】
そして不思議なのですが、火葬を終えたちーちゃんのお骨を目の前にすると、それまで泣いてばかりだった私の中に、自然と少し冷静な自分がいました。
これは、同じように大切な家族を見送った方の体験談にも書かれていました。
日本では、火葬した後に家族や親族がお骨を拾って骨壺へ収めることを「骨上げ」「収骨」「拾骨」などといいます。
二人で箸を使って遺骨を拾う「箸渡し」には、「箸」と「橋」をかけて、この世からあの世へ旅立つ故人の“橋渡し”をする、という意味が込められているといわれています。
三途の川を無事に渡り、あの世へ行けるように。
残された家族みんなで、その旅立ちを手伝ってあげる。
そう考えると、お骨を拾うという行為は、ただ遺骨を骨壺へ移すためだけの作業ではないのだと思います。
【悲しいのに、なぜか冷静になれた理由】
人は、大切な人や動物を亡くした直後、あまりにも悲しみが大きいと、何をすればいいのかわからなくなることがあります。
それでも、お葬式では次々にすることがあります。
火葬をして、お骨を拾って、骨壺へ収めて、家へ連れて帰る。
人の場合であれば、死亡後にはさまざまな手続きもあります。
私は以前、「亡くした直後の人をあえて忙しくさせることで、悲しみから少し離れさせる意味もある」というような話を聞いたことがありました。
ただ、これについても「悲しませないために、わざと書類仕事をさせている」という科学的な決まりがあるわけではありません。
一方で、葬儀やお別れの儀式のような“決められた行動”を行うことが、喪失によって突然失われた心の安定や、自分で何かをしているという感覚を少しずつ取り戻すことにつながる、という心理学の研究はあります。
日本で行われた遺族への研究でも、葬儀や儀式が、喪失によって崩れてしまった心の世界を立て直し、安定させる役割を持つ可能性が報告されています。
また、喪失後に何らかの儀式を行うことで「自分で何かをしてあげられた」という感覚が生まれ、それが悲しみを和らげることにつながる可能性を示した研究もあります。
もちろん、悲しくなくなるわけではありません。
ちーちゃんを失った悲しみが、お骨を拾ったことで消えたわけでもありません。
むしろ、目の前にある小さな骨をひとつひとつ拾うということは、本当に辛いことでした。
ついさっきまで、ちーちゃんの姿をしていたものが、お骨になって目の前にある。
それを自分の手で拾わなければならない。
こんなに辛い作業はないと思います。
でも今振り返ると、あの時間は私にとって、とても大切な時間だったのだと思います。
【最後に、私たちの手でちーちゃんを送り出す】
「これは頭の骨ですよ」
「これは足の骨ですね」
そうやって説明を聞きながら、一つひとつ拾っていく。
泣いているだけではできません。
目の前にいるちーちゃんと向き合って、手を動かして、
「これを骨壺に入れてあげよう」
「ちーちゃんをちゃんと連れて帰ろう」
と考えなければいけません。
悲しい。
ものすごく悲しい。
それでも、その悲しみの中で自分の手を動かして、最後までちーちゃんのためにしてあげられることがある。
そういう時間だったのだと思います。
仏教的には、この世からあの世への「橋渡し」。
心理的には、大きな喪失の中で、最後に自分の手で大切な存在を送り出すための儀式。
私は、お骨上げにはその両方の意味があるように感じました。
とても辛い作業だったけれど、
ちーちゃんのお骨を、私たちの手でひとつひとつ拾ってあげられてよかった。
最後の最後まで、
「ちーちゃんのために私がしてあげること」
が残されていたことは、
今振り返ると、とても大切なことだったのだと思っています。
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コメント
コメント一覧 (1)
チャッピーで勉強したと言っていて勉強熱心ですし、最後まで説明をしながら一緒に見届けてくれるこの方はお仕事としてでも本当にすばらしい人ですね。
長生きしたわんちゃんの骨が緑色になるというのも初めて聞きました。ちーちゃんの幸せの表れなんですね🥲
おます
が
しました