ちーちゃんが亡くなってから、私は朝起きられなくなりました。
それには明確な理由があって、もちろんちーちゃんを失った喪失感もありますが、それと同時に、朝起きて「ちーちゃんのためにやること」がなくなってしまったからだと思います。
私はもともとリモートワークなので、今思えば、ちーちゃんがいることで生活そのものが整っていたように思います。
朝起きたら、ちーちゃんのお散歩に行く。
介護が始まってからは、ご飯をあげたり、お世話をしたりする。
そして夜になったら、またお散歩に行く。
私はずっと、そうしたちーちゃんの生活を基点にして、自分の一日を作っていたんだと思います。
だから、ちーちゃんがいなくなったことで、その基点が突然なくなってしまいました。
「じゃあ私は、朝起きて何をしたらいいんだろう」
本当に、わからなくなってしまったんですよね。
リモートワーク、特に私のような完全な自営業の場合、自分自身で生活の基盤を考えて、自分で一日の流れを作らなければいけません。
通勤時間もなければ、決まった時間に会社へ行かなければならないわけでもありません。
これは自由である一方で、生活のリズムを自分で作らなければならないという難しさもあります。
私はそこを、ずっとちーちゃんを中心にして作っていたんだと思います。
だから、その真ん中がぽっかりと空いてしまったことで、何をしていいのか本当にわからなくなりました。
■ 自分が動けなくなると、仕事までできなくなった
もちろん、仕事でも相手がいるものや締め切りがあるものなら、それでも「やらなきゃいけない」と何とか動くことはできます。
でも私は、自分自身から出てくるものを仕事にしています。
漫画を描くこともそうですし、文章を書くこともそうです。
だから、自分自身が動けなくなると、本当に仕事そのものができなくなるんだということを、この時初めて実感しました。
そして私は、そんな自分を責めました。
「ちゃんと起きなきゃ」
「仕事をしなきゃ」
「いつまでもこんな状態じゃダメだ」
そんなふうに思っていました。
でも、今考えれば、この時点ではちーちゃんが亡くなって、まだ2日、3日しか経っていません。
急に普通の生活に戻れと言われても、それは無理だったと思います。
大切な存在を17年半もの間、生活の中心に置いてきて、その存在が突然いなくなったのですから、今までと同じように朝起きて、今までと同じように生活することの方が難しかったのだと思います。
■ 「元気になってから動く」ではなく、少しだけ動いてみる
ただ、その一方で、悲しみを抱えながらでも、少しずつ日常生活を取り戻していくことは、悲しみと付き合っていくうえで有効な方法の一つのようです。
これは、「外に出れば悲しみがなくなる」という意味ではありません。
大切な相手を失った悲しみが、散歩をしたから突然消えるわけではありません。
悲しみそのものを無理に消そうとする必要もないと思います。
「悲しいから何もできない」
↓
「何もできないから、さらに家に閉じこもる」
↓
「人にも会わなくなる」
↓
「ますます気持ちが沈んでいく」
という状態から、ほんの少しだけ外へ向かって動いてみることには意味があるようです。
実際、死別を経験した人と身体活動について調べた研究では、ウォーキングやランニングなどの身体活動が、気分転換や感情を表現する時間になったり、孤独感やストレス、抑うつなどを軽減する助けになった可能性が報告されています。
ただし、この分野はまだ研究数が十分とはいえず、「散歩をすれば必ずペットロスが改善する」という話ではありません。あくまで、悲しみを抱えながら生活を取り戻していくための一つの手段として考えるのがよさそうです。(PubMed)
また心理療法の分野には「行動活性化」という考え方があります。
気分が良くなるのを待ってから行動するのではなく、小さな行動を先に起こして、生活との接点を少しずつ増やしていく方法です。
死別後に強い悲嘆や抑うつを抱えている人を対象にした研究でも、こうした行動を増やしていくアプローチによって、悲嘆や抑うつ症状が改善したという報告があります。(PubMed)
■ 一人で外に出られないなら、一人で頑張らなくていい
とはいえ、本当に悲しい時に、
「外に出ましょう」
と言われても、それ自体が難しいんですよね。
これは私自身、とてもよくわかります。
一人で出かけることが難しいのであれば、可能ならお友達や家族に付き合ってもらう。
職場に行ける環境の方なら、あえて職場へ行ってみる。
私のように家で仕事をすることが中心の方なら、とりあえずカフェまで行ってみる。
何か特別なことをしなくても、人の気配がある場所に身を置いてみる。
それだけでも、一人きりで家の中にいる状態とは少し違います。
死別と孤独についての研究でも、死別後の孤独はメンタルヘルスの悪化と関連しており、また、家族や友人などからの社会的なサポートが多い人ほど、抑うつ症状などが少ない傾向が報告されています。(PubMed)
ですから、
「一人で立ち直らなきゃ」
と思う必要はないのだと思います。
むしろ、人の力を借りることも、生活を取り戻していくための一つの手段なのだと思います。
■ 愛犬と歩いた道を、もう一度歩いてみる
そして、もしできるのであれば、愛犬と一緒に歩いていた道を歩いてみることも一つだと思います。
もちろん、これは人によります。
思い出が強すぎて、まだ歩くことができない方もいると思います。
そういう時には、無理をする必要はありません。
ただ、いつもの散歩道には、愛犬との思い出だけではなく、お散歩仲間や近所の人など、これまで自然につながっていた人たちがいることがあります。
私自身、ちーちゃんがいたから知り合えた人がたくさんいます。
そういった人と少し話す。
「寂しくなっちゃったね」
と言ってもらう。
ちーちゃんのことを覚えていてくれる人に会う。
それも、一人で悲しみを抱え込まないためには大事なことなのかもしれません。
■ ペットロスは、決して軽く考えていいものではない
そして、ここはとても大切なことなのですが、ペットロスは決して甘く見ていいものではありません。
「ペットが亡くなっただけ」
と思われてしまうこともあります。
でも、一緒に暮らしている私たちにとっては、家族が亡くなったことと同じです。
しかもペットとの関係は、毎日の生活そのものに非常に深く入り込んでいます。
ご飯をあげる。
お散歩へ行く。
病院へ連れて行く。
薬を飲ませる。
声をかける。
一緒に寝る。
朝起きたらそこにいる。
帰ったらそこにいる。
そういった何年、十何年と続いてきた日常が、一日ですべてなくなります。
ですから、悲しみだけではなく、生活そのもののリズムまで失ってしまうことがあります。
日本で、ペットを亡くしてから21日以内の飼い主82人を調べた研究では、GHQという心身の健康状態をみる尺度で、46人、つまり56.1%に神経症状が疑われる結果が出ています。
もちろん、これは82人という限られた人数の調査であり、日本のペットを亡くした人全体の56%が必ず同じ状態になる、という意味ではありません。
それでも、亡くなった直後の飼い主に強い心身の不調が現れることが決して珍しくないことはわかります。(PubMed Central (PMC))
さらに別の日本の縦断研究では、ペットを亡くした直後には37人中22人、59.5%に精神的不調が疑われ、2か月後でも30人中17人、56.7%、4か月後でも27人中11人、40.7%に不調が疑われました。
こちらも小規模な研究なので割合をそのまま一般化することはできませんが、ペットロスの影響が数日で簡単になくなるものではないことを示す一つのデータだと思います。(J-STAGE)
■ 「こんなに悲しむのはおかしい」と思わなくていい
ペットロスには、もう一つ難しい問題があります。
それは、周囲に理解されにくいことです。
ペットを亡くした悲しみについては、周囲から十分な理解やサポートを受けられず、悲しみそのものを表に出しにくくなる「公認されにくい悲嘆(disenfranchised grief)」という問題も研究されています。(PubMed)
人間の家族が亡くなれば、
「仕事を休んでもいい」
「しばらく落ち込んでも仕方がない」
と思ってもらえることがあります。
でも、ペットの場合、
「犬でしょう?」
「もう次の犬を飼えばいいじゃない」
「いつまで悲しんでいるの?」
と言われてしまうことがあります。
だからこそ、誰にも話すことができず、一人で抱えてしまう人もいるのだと思います。
でも、大切な存在を亡くして深く落ち込むことも、泣くことも、何もしたくなくなることも、少なくとも亡くなって間もない時期には自然な悲嘆反応として起こり得ることです。
悲しむこと自体が悪いわけではありません。
■ 悲しみを消すのではなく、悲しみと一緒に生活を取り戻していく
私は、「ペットロスを乗り越える」という言葉が、本当に正しいのかは今でもよくわかりません。
ちーちゃんがいなくなった悲しみそのものが、完全になくなるとは今の私には思えないからです。
だから、悲しみを消すというより、
悲しいままでも朝起きる。
悲しいままでも外へ出てみる。
悲しいままでも誰かと話してみる。
そうやって、少しずつ生活を取り戻していくことなのかなと思っています。
元気になれ、と言いたいわけではありません。
早く立ち直れ、と言いたいわけでもありません。
深く落ち込むことも、悲しむことも、全く悪いことではないと思います。
ただ、その悲しみの中で何か月も何年もまったく生活ができなくなってしまったり、食事や睡眠、仕事などに深刻な影響が続いているのであれば、一人だけで抱える必要もありません。
友達でも、家族でも、同じ経験をした人でも、必要であれば専門家でもいい。
いろいろな人の力を借りながら、少しずつ生活を取り戻していく。
それは、ちーちゃんを忘れることでも、悲しくなくなることでもありません。
私はそう思っています。
私自身、まだペットロスの真っ只中にいます。
なので、今後このブログでも、ペットロスについて私自身が調べたことや、実際にやってみて少し楽になったこと、逆につらかったことなども書いていこうと思っています。
「こういうことが起きることがある」
「こういう方法もある」
ということを先に知っておくだけでも、いざ自分がその状態になった時に、
「自分だけがおかしくなってしまったんじゃないんだ」
と気づく一つの手立てになると思うからです。
もちろん、悲しみ方は人それぞれです。
正解もないと思います。
それでも、もし今同じように大切な子を亡くして、朝起きることさえできなくなっている方がいるのであれば、
まず今日は、玄関の外まででもいい。
近くのカフェまででもいい。
誰か一人に連絡するだけでもいい。
悲しみがなくなってから生活を始めるのではなく、悲しみを抱えたまま、ほんの少しだけ生活の中に戻ってみる。
私も今、そんなふうに少しずつやっています。
お困り事があったらお気軽にお問い合わせ下さい
♡ ちーちゃんを応援する(いいね)
多くの方々がペットロスや悲しみを抱えてる事を知りました。
同じ経験をする方々に寄り添っていけるようにブログの方も
書いていければと思います。
ご要望やご感想も良かったら、ちーちゃん窓口にお寄せ下さいですけどもっ🐾
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お気に入りを見つけてもらえたら嬉しいです🌸
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コメント
コメント一覧 (3)
ちーちゃんは本当によく頑張ったし、
飼い主様も頑張った。
数年後・数十年後振り返ったとき、
お互い偉かったなと思える気がします。
おます
が
しました
全然悔いのない一生だったと思うな。
おます
が
しました
「これをやったら逆効果だった」も是非教えてください。
悲しいものは、悲しい!!!そう言える場があるって、本当に救われますよね。
理由や大小ではなく、悲しい気持ちでいる人が、ここに居るという事が全てですよね。
おます
が
しました